ナレッジ
出荷後の与信オーバーを防ぐ 受注時に取引リスクを確認するNetSuiteの3つの方法
/
営業担当者が受注を進めた後で、「この顧客はすでに与信限度額を超えていた」と判明することがあります。
受注情報は販売管理システム、売掛金や入金情報は会計システムやExcelなど、顧客に関する情報を別々に管理していると、営業担当者が受注時に最新の与信状況を確認できません。
その結果、商品を出荷した後で経理担当者が与信超過に気づき、督促や今後の取引条件の見直しなど、事後対応が必要になるケースがあります。
本記事では、出荷後に与信超過が判明してしまう理由と、与信超過を放置することで起こる問題、そしてNetSuiteで受注・請求・入金・売掛金の情報をつなぎ、受注時に取引リスクを確認する方法を解説します。
この記事はこんな方におすすめ
・受注時に顧客の与信状況を確認できるようにしたい方
・営業と経理で売掛金や与信情報を共有したい方
・与信超過や未回収リスクを早い段階で把握したい方
・NetSuiteの与信管理機能を受注業務で活用したい方
読了時間:約6分
1. 出荷後に与信超過が判明するのはなぜ?
未入金の売掛金が多く残っている顧客から追加注文が入り、そのまま取引を進めた後で、経理担当者が与信超過に気づくことがあります。
こうした問題は、担当者の確認不足だけでなく、受注情報と売掛金情報の管理方法や、営業と経理が情報を確認するタイミングの違いによって起こります。主な原因は、次の2つです。
・受注時に顧客の売掛金残高が見えない:受注情報は販売管理システム、売掛金は会計システム、与信情報はExcelというように、情報が複数の場所に分かれているケースがあります。営業担当者が受注時に売掛金残高を確認できなければ、顧客の現在の取引状況を把握しないまま受注を進めることになります。
・与信超過に気づけるのが、売掛金を確認したときだけ:経理担当者が日頃管理しているのは売掛金や入金の状況で、受注や出荷を日々確認するのは通常の業務範囲ではありません。そのため与信超過が分かるのは、月次の締め処理や入金消込で売掛金残高を確認したときです。それまでの間、誰も気づかないまま商品が出荷されてしまいます。
同じ顧客について確認していても、見ている情報やタイミングが違えば、取引を進めてよいかどうかの判断にも差が生まれます。
2. 与信超過を放置するとどうなる?
与信超過をそのままにして取引を続けると、売掛金の回収リスクだけでなく、営業や経理の日常業務にもさまざまな影響が出てきます。主に、以下の4つの影響が考えられます。
・未回収金額が増え、手元の資金が減る:すでに多くの売掛金が残っている顧客から追加注文を受け続けると、まだ回収できていない金額がさらに積み上がります。仕入代金や人件費は先に支払う一方で売上代金は入ってこないため、その分だけ手元の資金(キャッシュ)が減り、資金繰りを圧迫します。
・出荷後の事後対応が増える:出荷した商品を元に戻すことは簡単ではありません。経理は督促を、営業は顧客との調整や取引条件の見直しを行う必要があり、本来は受注時に判断できたことが、複数部門を巻き込んだ事後対応になってしまいます。
・営業と経理の確認作業が増える:受注のたびに営業が経理へ「この顧客は受注して大丈夫ですか」と問い合わせる運用では、双方に確認作業が発生します。反対に、確認せずに取引を進めれば、後から経理が問題を発見することになります。
・取引判断が担当者の経験に依存する:与信基準が明確でないと、「長い付き合いだから大丈夫」「以前もこの金額で受注できた」といった担当者の経験で判断されることがあります。
いずれも、営業と経理のどちらかが注意するだけでは防げません。与信限度額などの基準を明確にし、受注時に必要な情報を確認できる仕組みにすることが重要です。
3. NetSuiteで受注時に取引リスクを確認する方法
与信超過への対応で必要となるのは、問題が起きた後に確認するのではなく、受注という取引判断のタイミングでリスクに気づけるようにすることです。
NetSuiteでは、顧客ごとの与信限度額と受注・請求・入金などの情報を利用して、受注時の与信確認につなげることができます。
① 顧客ごとに与信限度額を設定する
NetSuiteでは、顧客レコードに与信限度額を設定できます。
取引規模や過去の支払実績などをもとに、「この顧客にはいくらまで掛売りを認めるか」という社内ルールを数値として管理できます。
与信限度額を超えた場合の扱いについても、設定によって警告を表示する方法や、新たな受注・請求の入力を制限する方法を選択できます。
.png)
② 受注時に与信超過や延滞を確認する
NetSuiteでは、受注入力時に与信限度額を確認し、限度額を超える場合に警告を表示できます。
また、設定によっては、請求済みの売掛金だけでなく、まだ請求していない受注金額も与信計算に含めることができます。これにより、現在の売掛金だけでなく、今後請求予定の受注も含めて与信枠の利用状況を確認できるため、より早い段階で取引リスクを把握できます。
さらに、請求書の支払期日を過ぎてから、警告や保留の対象にするまでの日数(猶予期間)も設定できます。
.png)
営業担当者が別のExcelや資料を確認するのではなく、受注業務の中でリスクに気づけることがポイントです。
③ 受注・請求・入金を一つの流れで管理する
受注時に与信確認ができても、売掛金や入金情報が別のシステムにあれば、最新の残高を確認するために別の資料やシステムを照らし合わせる必要があります。
NetSuiteでは、受注・請求・入金などの情報を同じシステム上で管理できます。
そのため、経理担当者が入金を処理した結果も踏まえて顧客の取引状況を確認でき、営業と経理が同じ顧客情報や残高を見ながら判断できます。
「営業が見ている数字と経理が見ている数字が違う」といった差異が生じにくくなるため、確認作業や部門間のやり取りも少なくなり、与信超過がある場合も、取引を進めるかどうかを判断しやすくなります。
4. まとめ
出荷後に与信超過が判明する原因は、担当者の注意不足だけではありません。
受注・請求・入金などの情報が分散し、営業と経理が異なる情報やタイミングで取引を判断していることも大きな原因です。
与信超過を防ぐためには、出荷した後に売掛金残高を確認する業務フローから、受注の時点で取引リスクを確認できる業務フローへ切り替えることが重要です。
NetSuiteでは、顧客ごとの与信限度額を設定し、受注時に与信状況を確認できます。また、受注・請求・入金などの情報を一元管理することで、営業と経理が同じ情報をもとに取引を判断しやすくなります。
受注のタイミングで必要な情報を確認できる環境を整えることが、未回収リスクを抑えながら円滑に取引を進めるためのポイントです。