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ERP市場はなぜ伸びている?AI時代に変わるERPの価値
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ERPは、30年以上にわたり企業の基幹業務を支えてきた仕組みです。それでもERP市場は現在も成長を続け、今後も拡大が予測されています。
その背景にあるのは、基幹システムの老朽化だけではありません。事業構造の変化やデータ活用、そして今後さらに大きなテーマとなるのがAIの進化です。
なぜ、30年以上の歴史を持つERP市場が、今なお成長を続けているのか。そして、AI時代にERPの価値はどう変わるのか。
ERP市場の変化と、新規導入の提案・支援に携わる現場から見えてきたERPの新たな価値について、本稿で整理します。
こんな方におすすめ
・基幹システム、ERPの刷新を検討している経営者&IT責任者の方
・ERP市場が今も成長している背景を知りたい方
・AI活用を見据え、企業のデータ基盤をどう整えるべきか検討している方
読了時間:約7分
1. なぜ今、ERP市場は伸びているのか
1-1. 30年以上の歴史を持つERP市場は、今も成長している
ERP(Enterprise Resource Planning)という言葉が登場したのは1990年代初頭。会計・販売・購買・在庫・生産など、企業の基幹業務を長年にわたって支えてきました。
そのERP市場が、現在も成長を続けています。
国内ERPパッケージライセンス市場は、2024年に1,684.4億円、前年比12.1%増となりました。
世界でも、ERPソフトウェア市場は2024年に660億ドル、前年比11.3%増へ拡大しています。
さらに市場調査では、国内・グローバルともに今後もERP市場の拡大が予測されています。
30年以上前から存在するERPが、なぜ今も成長し、今後も市場拡大が見込まれているのでしょうか。
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1-2. ERPは「大企業だけのシステム」ではなくなっている
ERP導入を検討する企業への支援を通じて、近年特に感じるのが、ERPを導入する企業の裾野の広がりです。
かつては大企業が導入する大規模なシステムというイメージも強かったERPですが、現在では年商100億円以下の企業でも、将来の事業成長を見据え、早い段階から導入を検討するケースが見られます。
背景にあるのは、事業の多角化、海外展開、M&A、内部統制、データ活用など、将来の事業変化への備えです。
基幹システムの刷新は、経営や複数部門にまたがる全社的なプロジェクトであり、導入後も長期間にわたって事業を支えます。
だからこそ、現在の会社規模や業務だけではなく、10年先の事業成長や事業構造の変化まで見据えて、システムを選択することが重要です。
「今の業務にフィットするか」だけではなく、「これからの事業変化に対応できるか」という視点が求められています。
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1-3. 中堅・中小企業で見られる「部分最適」の限界
中堅・中小企業のERP導入支援でよく見られるのが、システムの「部分最適」です。
会計、販売、在庫など、それぞれの業務に適したシステムを個別に導入する。導入当時は合理的な選択でも、事業が成長すると課題が表面化します。
取引量や拠点、事業、法人が増えることでデータが分散し、CSVやExcel、手作業でシステム間をつなぐ場面が増えていく。
部門ごとには最適でも、会社全体ではデータがつながっていない。
海外展開や複数法人管理などが加われば、さらに複雑になります。
そこで、個々のシステムを改修し続けるのではなく、販売・購買・在庫・会計などを一つの業務プロセスとして管理できるERPへ、企業基盤そのものを見直すという選択肢が出てきます。

1-4. ERP刷新は「古いシステムを新しくする」だけではない
ERP需要を支える大きな要因の一つが、基幹システムの老朽化です。
経済産業省が2025年5月に公表した「レガシーシステムモダン化委員会総括レポート」でも、レガシーシステムが最新のデジタル技術導入の足かせとなっている現状が指摘されています。
実際のERP刷新でも、AS/400、スクラッチで構築された基幹システム、長年カスタマイズを重ねたオンプレミス型システムなどからの移行が検討されています。
ただ、背景にあるのは「システムが古くなった」ことだけではありません。
例えば、卸売を中心としていた企業が自社ブランドを立ち上げ、メーカーとしての機能を持つ。事業が変われば、必要な業務プロセスも変わります。
システムが古くなっただけではなく、会社そのものが変わっている。
だからこそERP刷新は、単なるシステム更新ではなく、これからの事業に合わせて業務とデータを再設計する機会でもあります。
2. AI時代に変わるERPの価値
ERP市場の成長を考えるうえで、もう一つ見逃せない変化があります。
それがAIです。
ERPが企業の業務とデータを支える基盤であるならば、AIが企業活動に入り込むほど、その基盤のあり方も重要になっていきます。
2-1. AIに必要なのは「データ量」ではなく「つながったデータ」
ここまでの変化に加え、これからのERPの価値を大きく変えると考えているのがAIです。
例えばAIに、
「来月、この店舗では商品を何個発注すべきか」
を判断させるとします。
販売実績だけでは判断できません。在庫、発注、仕入先、調達リードタイム、欠品状況など、複数の情報が必要です。
さらに重要なのは、単にデータが集まっていることではありません。
誰に、いつ、何を販売し、その結果在庫がどう動き、どこからいくらで仕入れ、どれだけ利益が生まれたのか。
こうした企業活動が、一連のデータとしてつながっていることが重要です。

AI時代に価値を持つのは、単なるデータの量ではなく、人・モノ・カネがつながった「業務の文脈を持つデータ」です。
そして、販売・購買・在庫・会計などの業務とデータを一つにつなぐことこそ、ERPが従来から担ってきた役割でもあります。
2-2. AI時代、ERPの「使われ方」が変わる
その変化は、すでにERP製品にも現れ始めています。
Oracle社が発表した「NetSuite Next」では、支払提案、ベンダー選定、照合、サプライチェーン業務など、AIを業務プロセスに組み込む方向性が示されています。
SAP社も2026年に「Autonomous Enterprise」を発表し、AIエージェントを企業の業務プロセス、データ、ガバナンスと結び付けていく方向性を示しています。
これまでERPでは、人が画面を開き、情報を確認・入力しながら業務を進めることが一般的でした。
今後は、AIがERPに蓄積されたデータを参照し、情報の収集や整理、入力、処理の提案などを支援することで、人がERPを直接操作する場面は減っていくと考えています。
例えば、AIが必要な情報を整理して伝票の入力内容を作成し、人が最終的な確認や登録を行う。
そうなると、ERPを見る視点も変わります。
データは正しいか。
業務をまたいでつながっているか。
適切な権限のもとで安全に管理されているか。
画面の使いやすさだけではなく、AIが利用できる正しい業務データを持つ基盤としてのERPが、より重要になっていきます。

まとめ. AI時代だからこそ、ERPの価値は高まる
ERP市場が現在も成長し、今後も市場拡大が予測されている背景には、レガシーシステムの刷新や、企業の事業構造の変化があります。
そして今後、その流れをさらに後押しすると考えているのがAIです。
AIの技術そのものは急速に進化していきます。一方で、企業固有の販売・購買・在庫・会計といった業務データは、短期間で用意できるものではありません。
だからこそ、AIを導入してからデータを整えるのではなく、将来のAI活用を見据えて、今から正しく、つながった業務データを蓄積しておくことが重要です。
30年以上の歴史を持つERPが今も成長し、今後も成長が見込まれている背景には、ERPが単なる基幹システムから、企業の業務とデータをつなぎ、AI活用を支える企業基盤へと、その役割を広げていることがあると考えています。
参考文献
株式会社矢野経済研究所「ERP市場動向に関する調査を実施(2025年)」2025年9月22日
Gartner「Market Share Analysis: ERP Software, Worldwide, 2024」2025年6月26日
経済産業省「レガシーシステムモダン化委員会総括レポート」2025年5月28日
Oracle NetSuite「NetSuite、NetSuite Nextを発表」2025年10月8日
SAP「SAP、自律型エンタープライズを発表」2026年5月13日.png)